写真:宝蔵門

中央に掛かる大提灯は、高さ3.75m・幅2.7m、重さ約450kg。

宝蔵門(仁王門)ほうぞうもん(におうもん)

元版一切経を収蔵する仁王門 

雷門をくぐり、人通り賑やかな仲見世を歩いてゆくと、前方に堂々たる朱塗りの楼門が参拝者を迎える。浅草寺山門の宝蔵門である。門は初層が五間で、両端の二間には仁王像を奉安し、中央の三間が通行のために開口している。

仁王像が安置されていることからもわかるように、この門はもともと仁王門と呼ばれていた。『浅草寺縁起』によれば、平公雅が天慶5年(942)に武蔵守に補任され、その祈願成就の御礼として仁王門を建立したのが創建という。以来、数度の焼失と再建ののち、徳川家光の寄進により慶安2年(1649)に落慶した仁王門が、昭和20年まで諸人を迎えていた。今に伝わる錦絵の数々に描かれた仁王門は慶安の門である。

写真:東都名所浅草金龍山」に描かれた仁王門(現在の宝蔵門)

「東都名所浅草金龍山」に描かれた仁王門(現在の宝蔵門)

江戸時代、浅草寺は庶民に開かれた寺院として多くの参拝者を集めたが、一般ご信徒への特別なはからいとして、数日に限って門の楼上に登ることが許された。元旦、2月15日(涅槃会)、4月8日(仏生会)、7月15、16日(盂蘭盆会)、春秋の彼岸中日の7日間で、当時は近辺に高層建築がなかったため、人びとは楼上からの眺望を大いに楽しんだ(現在は行っていない)。仁王像は霊験あらたかな像として庶民の信仰を集め、噛んでまるめた紙を仁王像に投げつけ、紙が仁王の身体にくっついたら願いがかなうといった俗信も生まれた。
 また、江戸時代は仁王門の左右から塀がめぐらされ、暮六つ(季節により変動があるが午後6時頃)に雷門・仁王門が閉じられると、夜間の境内は人の出入りのない静寂な空間となった。
 昭和20年(1945)、仁王門は東京大空襲により観音堂・五重塔・経蔵などとともに焼失する。昭和39年(1964)に大谷重工業社長・大谷米太郎ご夫妻の寄進により、鉄筋コンクリート造り、本瓦葺きで再建された。経蔵を兼ねて伝来の経典や寺宝を収蔵することから、仁王門から宝蔵門と改称された。
 宝蔵門に収蔵されている経典とは、「元版一切経(国の重要文化財)である。もとは鎌倉の鶴岡八幡宮に収蔵されていたものであるが、明治の神仏分離の際にあわや焼却処分されるところを、浅草寺に深く帰依していた尼僧の貞運尼が買い取り、浅草寺に奉納したという由緒をもつ。この「元版一切経」を鎌倉から浅草まで運ぶ際に助力したのが、町火消し十番組の組頭・新門辰五郎である。境内にあった新門の門番を務めたことから新門と名乗り、安政年間(1854~60)に浅草寺の経蔵を寄進している。戦災で経蔵は焼失したが「元版一切経」は疎開しており無事だった。宝蔵門は篤信の人びとに守られた宝物とともに、多くの参拝者の安寧を見守っている。

地鎮式 昭和36年(1961)12月20日
完成 昭和39年(1964)4月1日 上棟式
構造 鉄骨・鉄筋コンクリート
様式 入母屋造
和様三手先五間三扉重層門
外部塗装 合成樹脂塗装
新設備 上層に収蔵室・警報装置
下層桁行 21.1m
上層桁行 20.0m
下層面積 173.6m2(52.6坪)
中二層面積 173.6m2(52.6坪)
上層面積 144.5m2(43.8坪)
総面積 492.0m2(149.2坪)
総高 21.7m
楼内安置仏 釈迦如来像(平安時代)四天王像 (持国天・増長天・広目天・多聞天)風神・雷神像
大わらじ 写真:大わらじ高さ 4.5m・幅 1.5m、重さ 500kg、藁 2,500kg使用。山形県村山市有志より平成20年(2008)10月奉納〔昭和16年(1941)の初回以来、7回目〕
わらじは仁王さまのお力を表し、「この様な大きなわらじを履くものがこの寺を守っているのか」と驚いて魔が去っていくといわれている。
大提灯 高さ 3.75m・幅 2.7m、重さ 450kg。 日本橋小舟町奉賛会より平成26年 (2014)10月奉納掛け換え(4回目)
吊灯籠
高さ 2.75m、重さ 1.000kg 銅製。魚がし講より昭和63年(1988)10月奉納掛け換え(2回目)
「浅草寺」額 写真:京都・曼殊院門跡の良尚法親王筆の模写京都・曼殊院門跡の良尚法親王筆の模写

仁王尊像(木曾檜造り 重さ 各約1,000kg)

 
製作期間 昭和37年(1962)1月~
39年(1964)3月
昭和37年(1962)1月~
39年(1964)3月
彫刻 錦戸新観 村岡久作
彩色 磯貝玉州 磯貝勝之
身長 4.54m(総高5.45m) 4.93m(総高5.45m)

※仁王尊のご縁日は毎月8日。身体健全、災厄除、虫封じ、疱瘡除の守護神。所持の武器は金剛杵、インドの古代武器の一種で堅固不壊でありよく物を摧破するの義、すべての煩悩を破る菩提心の象徴。

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